オフィスの野獣

「俺の身の上話より、いつまでここにいるの?」

 休日の朝から重くなる空気を喚起するように、そいつが言った。
 そいつが話をすり替えてしまったから、私もこれ以上この話を続けることに気が引けた。
 渋々と会話を彼に合わせて、この後はどうしようかと少し首を捻った。


「洗濯物が乾くまではどうしようもないし」

「いっそ、一緒に住んじゃおうか」

「意味わかんないし。なんでそうなるのよ。別に付き合ってもないのに」

 いつもの軽口を言ってるのだと思った。
 いつも話が突拍子もなく、脈録もない。だから彼の軽い口に呆れて返した。

 最後の一口を放り込んで片付けようと席を立つと、テーブルに頬杖をしたまま西城斎は私に言った。



「じゃあ、付き合わない? 俺達」


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