見上げる空は、ただ蒼く
近所のおばさんが慌てて
こちらに走りよってきた。

『お化け屋敷』に住んでいた頃は
全くなかった近所の家との交流も
こっちに住むようになってからは
積極的に取り組んだ。

「結乃ちゃん、大丈夫?!誰か!
救急車よんでーーっ!」

おばさんの声で、庭で草むしりを
していた若い男性がスマホを
取り出して救急車を呼んでくれた。

私はおばさんに向かって謝る。

「すいません金森さん...。」

すると、彼女は親指を立てて
にっこりと笑ってくれた。

「子供なんて、大人を頼って迷惑
かけまくるのが本業なのよ。
結乃ちゃんは自立しすぎ。もっと
周りに甘えていいわ。奏とは幼馴染
なんでしょう。あの子ならきっと
甘やかしてくれるわよ。」

金森さんの話をぼんやりとした
意識の中で聞いていると、
何故だか泣きそうになった。

遠くから救急車のシンボルである
かすかなサイレンの音がする。

それを聞くとほっとして、
風前の灯火だった私の意識は
あっというまにとんだ。
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