見上げる空は、ただ蒼く
「はい、シーン18。
ジュリエットがロミオに語りかける
シーンからいきます。
3、2、はい。」

演劇部の菜々花が指示をだして、
シーン18の練習が始まった。

「あぁ、ロミオっ。あ、あなたは...
どっ、どうしてロミオなの...?」

緊張と恥ずかしさで声が震える。

「カット、カーット!」

すかさず菜々花が練習を止めた。

「結乃、本気でジュリエットに
なる覚悟あるの?ちゃんとやって。」

「ご、ごめんなさい...。」

あぁ、また怒られちゃった。
劇の練習が始まってすぐの頃から
菜々花には怒られてばかりだ。
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