見上げる空は、ただ蒼く
「......ばかっ!奏のばか!」

罵りながら奏を
抱き締めて私は泣いた。

「気づくのが遅くなって
本当にごめん...。俺も初めは
結乃が本気で俺のことを嫌いに
なったんだと思ってたんだ。

でも考えるうちに違うなって
ことに気づいたんだよ。それで
学校に来てみたらうずくまる
お前と机もった葉音がいて
正直あせったけど。」

珍しくしどろもどろに謝る奏。

そんな君が今は愛しくて。


「私が奏のこと嫌いになんて
なるわけないでしょ。これからも
ずーっと離さないから...。」


抱き締める手に力を込めた。
私と奏が顔を見合わせてお互い
涙を流しながら笑っていると、
葉音が床に崩れ落ちるように
どさりと座り込んだ。

私は葉音の元に駆け寄る。

「葉音、今までいっぱい
傷つけちゃってごめんね......っ。」

葉音は泣いていた。
ぼたぼたと涙を溢しながら彼女は
私に虚ろな目を向けた。

濡れた瞳がゆらゆらと揺れている。
そして、彼女の瞳が意を決した
ように光を放つと。

葉音は髪が床につかんばかりの姿勢で
私に向かって頭を下げた。
< 121 / 273 >

この作品をシェア

pagetop