見上げる空は、ただ蒼く
何て言おう。
喉がカラカラになる。
私は、お母さんの方をじっと
見つめながら声をあげた。

「おかあ、さん。あのさ...」

__元気にしてた?

そう言おうと思ったとき、
アクリル板の向こうのお母さんの
表情に変化があった。

うつむいていた顔がだんだん
上向きになってくる。

お母さんは、私を睨んでいた。



「お母さんなんて言う資格、
アンタにはないわよ!出てけ!!
出来損ないの癖にっ。
アンタのせいで私がどれだけ
苦労したかアンタには絶対に
分かんないの!!せっかく
女の子にしたのにこれじゃ全くの
台無しじゃないっ!」

「赤坂。やめなさい。」

警官の制止する声。


一瞬、何を言われたか
分からなかった。
そして、やっとのことで
状況を理解したときにはもう。


お母さんは警官に連れられて
面会室から出ていくところだった。
そのやつれた小さな背中に私は
必死で声をかける。


「ごめん、なさい。」
お母さんはその言葉をスルーして
面会室から出ていった。

私の気持ちが届いたか
どうかなんて分からない。

お母さんの声が私の中でぐるぐると
リピートされ続けていて。
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