見上げる空は、ただ蒼く
「......私が出来損ないだから
お母さんが苦しんでるんだ。
私の...せい、でっ。」

強い憎悪を含んでいたお母さんの目。
お母さんは私が嫌いなんだ。
私の存在がお母さんの重荷になってる。

身体中の震えが止まらない。

すると、後ろから奏に
ふわりと抱き締められた。

「何があっても結乃のことは
俺が守るよ。それが俺にとっての
唯一の罪滅ぼしだから......。」

耳元で紡がれた奏の囁くような呟き。

「罪、滅ぼし?」

どういう意味だろう。
私が不思議に思ってオウム返しすると
奏はハッとして口をつぐんだ。

「ごめん、なんでもないよ。」

奏はそう言って笑みを浮かべている
けれど、僅かに視線が泳いでいる。
こんなことが、確か前にもあった。
奏は私に何か隠していることがある。

「奏は苦しく、ないの?」

私がそう言うと、奏は驚いたように
目を見開いて私の顔を見た。

「どういうこと?」

「奏は、1人で抱え込んで、
苦しいと思って、ないの?私は、
奏が1人で抱え込んでたら苦しいよ。
奏は私の大事な幼馴染だから...。」

私の言葉を聞いて、奏は何故か
物凄く哀しそうな表情をして。

「ごめんな、結乃。俺なんかの為に
心配してくれてんだよな...でも、
これだけは言えないんだ。
本当にごめん、許して。」

「俺なんか、って言わないで。
奏は私の大切な存在、なんだよ。」

「結乃......ありがと.........っ。」
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