見上げる空は、ただ蒼く
菜々花が私に言うことは
大体いつも同じようなもの。

「ちゃんとやってよ。」

「覚悟たりないよ。」

そんな感じだ。
私は自分に自信がないから
恥ずかしがらずにセリフを言ったり
演技をしたりするのが苦手だ。

「お前、自己肯定感低いよな。」

なんて奏に言われたこともある。
暗い気持ちに心が覆われていくなか、
シーン18の練習は続いた。

「あ、あなたは...。」

「もっとはっきり!」

「あ、あなたはどうして...!」

「全然変わってない。もう、なんで
結乃がジュリエットになったの?!」

菜々花の放った言葉に、頭を
鈍器で殴られたみたいな衝撃がはしった。

「ご、ごめんなさい...。」

うつむいてぎゅっと唇を噛み締める。
泣きたいのに、涙がでてこない。
私のせいでみんなに迷惑がかかってる。

練習、再開しないと。
分かっているのに、身体は
思うように動かなかった。
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