見上げる空は、ただ蒼く
「結乃っ。ごめん、本当にごめん。
俺のせいで......っ。俺がいなかったら
結乃が父さんに傷つけられることなんて
なかったのに......。俺のせいだな。」

奏、お願いだからどうか
自分のことを責めたりしないで。

「大丈夫。奏のせいなんがじゃないし、
私は平気だよ。怪我もほとんどない。」

私は奏ににっこりと笑いかけた。
でも、君は暗い顔をしていて。
ずっと謝罪の言葉を並べていた。

「俺が...もし俺がこの世の中に
存在していなかったら。」

「やめて、そんなこと言わないで...」

「もし俺が6年前のあのとき、
結乃に出会ってなかったら
よかったのに......っ。」

「やめて、やめてよ奏っ!」

ぼろぼろと涙を溢す奏の手を
私はそっと右手で包み込む。
そして、反対の手で彼の涙を拭った。

「私は、もしもあのとき奏と出会って
なかったら今頃きっと自殺してたよ。
奏の存在が私の命を救ったの。

だから自分の存在を否定しないで。
出会わなければ良かったなんて
言わないでよ!私は奏のことが
大好き......なん 、だよっ。」

君に生きてほしい。
これからも、ずっと一緒に。

「結乃......俺も結乃のこと大好きっ。
いつも結乃と過ごしてて俺なんかが
お前の隣に居ていいのかなって......
俺みたいな汚いやつがまっすぐな
お前の隣で一緒に笑ってて良いのかな
って今までずっと考えてた。」

彼の涙は止まらない。

「奏の方がどこまでもまっすぐで......
勇敢で、綺麗だよ。そんなの
いいに決まってるじゃん......!
もし奏が離れようとしても、
これからもずーっと一緒だよ。」
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