見上げる空は、ただ蒼く
それから1週間。
奏は旅行に行く準備をするからと
言って学校を休んでいた。

私は仲直りして元の関係に戻った
葉音と一緒に過ごしている。
葉音に奏がフランスに行くと伝えると
何故か私も一緒に行くのかと真剣な
表情で尋ねられた。

それに私は笑いながら首を振る。
凜は相変わらず学校に来ていなくて、
私はほっとしつつ心の隅に微かな
不信感を抱いていた。

凜は、学校を3ヶ月以上も休んで
何をしようとしているのだろうか。

考えてみればみるほど
悪い想像ばかりが頭に思い浮かんで
気が滅入りそうになる。

もしかしたら私は、意外と
悲観主義者なのかもしれない。

奏はフランスに行っている間は私に
手紙を書いてくれるらしい。
離れるのはたった1ヶ月なのに、いつも
一緒に居るからか奏が居なくなるのは
寂しいな、なんて思った。

『私のことは気にしなくて大丈夫だよ。』

奏にフランス行きを告げられたときは
そう言ったけれどあれはやっぱり
私の強がりで。

本当は心の中が不安と寂しさで
ごちゃまぜになって何故か泣きたくなる
みたいな不思議な気分だった。

「奏がフランスに行くの、結乃は
寂しいと思ったりしないの?」

葉音にそう尋ねられて私は自分の座る
机にうっすらと残った汚れを指で
なぞりながら答えた。

「ちょっと寂しいけどね。奏には自分の
やりたいことをやってほしいって思う。」
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