見上げる空は、ただ蒼く
くつ箱を開けると、はらりと1枚
折り畳まれた紙が落ちてきた。

「なんだろ、これ。」

不思議に思いつつ紙を広げると中には
丁寧な字で文章が書かれていた。

『貴女に相談したいことがあります。
貴女の親についてのことです。今日の
放課後に教室に残っていてください。R』

私に、相談したいこと?
しかも、私の親についてのこと?

冗談じゃない、意味がわからない。

この紙に書かれている字には全く見覚えが
ないし、いったい誰が書いたんだろう。
どんな目的があって?何の為に?

頭の中が疑問符で埋め尽くされていく。
私は混乱したまま紙をポケットに入れた。
あとで葉音に相談してみよう。

葉音ならきっと何かしらの良い解決策を
教えてくれるに違いないから。
そう考えるとほんの少しだけれど心が
軽くなったような気がした。

誰もいない教室に入る。

窓から射し込む朝陽に照らされて光る
クラスの机の中でも、薄汚れた私の机は
よく目立っていた。

薄汚れたままそこに置いてある机は
まるで、私のクラスでのポジションを
そのまま表しているかのよう。

バッグを机の横に掛けてベランダに出る。
私のクラスは校舎の4階。
ベランダから下を見ると地面はトラックに
引かれた石灰の白線が僅かにボケて
見えるくらいに遠かった。

薄い紅色に色づいた空にどこまでも
自由な風に身を任せて漂う雲。

美しい景色を目の当たりにして、
たまには早く学校に来たりするのも
いいかも知れないと思った。
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