見上げる空は、ただ蒼く
授業中も、放課後のことが気になって
全く授業に集中出来ずにぼんやりと
空を見上げていた。

文句のつけようがないくらいの快晴。
その太陽の眩しすぎる輝きさえもが
怪しく見えてくる。

そして、6限の授業を受けて掃除、終令を
したあと「じゃあ、かいさーん。」と
気だるげに告げる担任の合図でいよいよ
放課後に突入した。

恐怖と好奇心で心臓がバクバクしている。

「結乃、行こう。」

葉音に言われて私は席を立つ。
2人で手を繋いで階段を上った。
屋上に繋がるところどころ
錆び付いて開きにくい赤茶色のドア。

「開け、るね。」

葉音にそう言ってドアを開けると。



そこには1台のラジオ。
人影は、なかった。

「すごく嫌な予感がする。
結乃、ラジオに近づかないで。」

葉音が止めるのを聞かずに、
私はゆっくりと歩みを進めて
その少しだけ古ぼけた
ラジオに近づいた。

触れようとした、その時。

゛ザザーッザザーッ゛

突然スイッチが入って音声が流れ出した。

゛男の子なんかいらないのよ!
なんでお前なんか産まれてきたの!゛

この声は......お母さん?

゛私の女の子と交換しませんか?゛

え......なに?
どういうこと、なの。

「ダメっ!聞いちゃダメだよ。」

葉音が叫ぶ声すら耳に入らない。
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