見上げる空は、ただ蒼く
死のうと思った。
心も身体も、もう限界だった。

私はラジオを抱えたまま学校を
飛び出して、駅を目指した。

夕陽が傾いていく。

最寄り駅に着くとちょうど目標に
していた電車をみつけて飛び乗る。
電車は東へと走った。

車内は誰も乗っていなくて、ただ
柔らかな夕陽が窓から射し込んでいる。

私は、音を発さなくなった
ラジオの表面を手でそっと撫でた。

電車がさらにスピードを上げていく
なかで、私はそっと目を閉じた。
目的地まではまだ時間がある。

電車は走る。

私たちの出逢いの場所に向かって。

私にとって゛最期 ゛を

迎えることになるはずの

想い出の場所に向かって。
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