見上げる空は、ただ蒼く
結乃なんて。
あんな奴なんて、大嫌い。

私も奏のことが好きだったのに。
結乃と私が並んだときに選ばれるのは
たいていは結乃だった。

だから、苦しくなっていじめた。

日に日に募るストレスから逃れたくて、
結乃を徹底的にいじめ抜いた。

最初は強がっていた癖に弱っていく
結乃を見て、このまま
死んじゃえばいいのにって思って。

とにかく苦しめたかった。

結乃の記憶だけじゃなくて、私の記憶も
なくなってれば良かったのに。

『辛いなら我慢しないで。
自分1人で哀しみを溜め込まないで。』

中1のとき、酷くいじめられていた
クラスメートに対して、結乃が
その子を励ますように笑いながら
そう言っていたのを思い出す。

結乃にそんなことを言う資格なんてない。
自分が知らず知らずの内に人のことを
傷付けてるなんて分かってないでしょ?

記憶がないからって甘えないで。
結乃が私を忘れたままでいるとしても、
私は貴女のことを忘れないから。

絶対に許さない。
例え学校に戻ってきたとしても
心に一生消えないくらいの傷を作ってやる。

私の苦しみを味わってよ。
同じように苦しんで足掻いてよ。
私は貴女のせいで幸せを失くした。

だけど。

この失くしものが見つかる確率は、
限りなく0%に近いのだから。
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