見上げる空は、ただ蒼く
病院を出た。
私はカバンから1枚の紙を取り出す。


『りんちゃんへ

いつもゆいのといっしょに
あそんでくれてありがとう。
りんちゃんとあそぶの
たのしいからだいすきだよ。
りんちゃんのこともだいすきだよ。
しょうがっこうにいっても
ちゅうがっこうにいっても、
ずっとずーっといっしょにいようね。
これからもよろしくね。

           ゆいのより』

幼稚園の年少組にいたとき、結乃が
覚えたての平仮名を使って
苦労しながら私に書いてくれた手紙。

結乃を嫌いになっても、この手紙は
私にとっての宝物だった。

『ずっとずーっといっしょだよ』

その言葉を信じてた。
本当はずっと友達で居たかった。

一緒に遊びに行ったり写真を
撮ったりして、青春を満喫したかった。

でも。

私と結乃はまるで正反対の存在だ。
磁石のN極とN極みたいに
いつでもお互いをしりぞけあう。

私たち2人が、仲良くなるなんて。

そんなストーリーはありえないよね。
嫌な考えを捨てたくて首を横に振る。
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