見上げる空は、ただ蒼く
『いじめはいじめる側だけでなく
いじめられる側にも何かしら問題がある』

大人はよくそう言う。
少し前まではそんなの嘘だって思ってた
けれど、もしかしたらあながち
間違っていないのかもしれないな。

一連のニュースが終わると同時に、
ipadは元の椅子の形に戻る。

その時、私はあることに気付いた。
暗闇の世界の遥か向こう側に
小さな小さな光の点があることに。

あそこから、出られる。
自然と足はそちらの方に向いて、
私は光に向かって走り出していた。

走りながら、手を伸ばす。

遠い光が、いつまで追いかけても
追い付けない奏の背中と重なった。

今はまだ辿り着けなかったとしても。
いつか君と肩を並べる。
そして、君を越えてみせる。

走って、走って、走る。

走り続ける不安や疲れなんかよりも
心に灯る希望の方がずっと大きかった。

必ず、あの光を。
この手で掴みとるから。
< 176 / 273 >

この作品をシェア

pagetop