見上げる空は、ただ蒼く
「はい、オーケイです。
ミニブレークとって5分後に
シーン20から練習します。」

菜々花と同じく演劇部の凜が
指示をだした。
私はほっとして近くにあった
席にどさりと座る。

まだ少し、胸が苦しかった。
心的外傷後ストレス障害の敵は
不安と自己否定。

この2つが重なりあえば、例え
どんな状況に居ても私の身体は
パニックを起こしてしまうのだ。

ふいに誰かが隣の席に座った気配が
して横を向くと、私の好きな
イチゴオレが頬っぺたにあてられた。

「......ひゃっ。」

「イチゴオレでも飲んどけ。
結乃、大丈夫か?だから無理は
すんなっていつも言ってるだろ。」

隣に座っていたのは奏だった。
いつものように不機嫌なのかクール
なのか分からない表情をしながら
私にイチゴオレを手渡してくれる。

「ありがと、奏。お金、いくらなの。」
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