見上げる空は、ただ蒼く
中2の秋。

俺は久しぶりに『お化け屋敷』と
呼ばれていた結乃の家を訪れていた。

ここは俺たちが出逢った場所。
俺はなんらかの想い出の品が欲しくて
ここを訪れたということになっている。

今、ここの土地の所有権は結乃の親戚が
持っているらしく俺が電話をかけて
事情を説明すると、

『あそこは使う気もないから勝手に
入ってくれていいし、欲しいものが
あるならなんでも持って帰ってくれ。』

と面倒くさそうに言われた。

ガチャリ。
ドアを開けて、直後に俺は咳き込んだ。

『......うわ。』

クラクラするような酒の匂い。
テーブルや床には空っぽになった酒瓶や
ワインボトルが散乱していて、酒の匂いは
その場に立っているだけで酔っぱらって
しまいそうなほど部屋に充満していた。

アイツが逮捕されてから3ヶ月くらい
経ったはずなのに、異様なほど生活感の
残っている手付かずのリビングやキッチン。

リビングの窓にはヒビが入り、
キッチンには洗っていないグラスや食器が
そのままシンクに放り込まれている。

結乃の家がここまで酷い状態だったなんて。
俺はそんなことさえ知らなかった。
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