見上げる空は、ただ蒼く
どうしようもない感情にかられて、
近くにあった本をラジオに投げつけた。

それはラジオの録音ボタンに当たって
床にボトリと落下する。

いつの間にか録音されていたなんて
気づきもせずに、俺は叫んだ。

『なんでそんなことしたんだよっ!』

『意味わかんねぇよ!結乃と俺が
入れ替わりの子どもなんて......
そんなの信じれるわけねぇだろ?!
なんで結乃を虐待すんだよ......っ。』

ただ小さな子供みたいにその場に座って
思いを叫び続けていると不思議と
気が変になりそうだった。

それでも俺は疑問を叫ぶ。

どうして虐待されるのが結乃なんだよ。
どうして俺じゃないんだ。

入れ替わりの子ども。

その事実が思いのほか
心に重くのしかかってきて怖かった。

ラジオを持って家を出る。

これは結乃にバレちゃいけない。
結乃が知ったらいけない。
きっとアイツは傷つくから。

相手を気遣って笑っては、
いつも自分の心をズタズタに
してしまっているような奴だから。

俺が、結乃を守らないと。
それが俺の......贖罪。
< 183 / 273 >

この作品をシェア

pagetop