見上げる空は、ただ蒼く
俺は少なくとも母さんに愛されていた。
家族の愛を教えてもらった。
それは、例え俺が本当の子どもじゃない
としても母さんが俺を愛してくれていた
という証拠なんだろう。

でも、結乃は。

虐待された。
わざわざ自分の子どもを交換代償にしてまで
手にいれた女の子を、アイツは平気で
殴って、蹴って、罵って。

あらゆる方法を使って傷つけた。
そんなことが許されるはずがない。

いや、そもそも俺の母さんとアイツが
子どもを交換するなんていうことが
決してあってはいけなかった。

子どもは物じゃない。
世の中には、子どもをどれほど
授かりたくても授かれない人だっている。

なのに、自分を選んで生まれてきてくれた
子どもを交換したり虐待したりするのは
正しいことではないと俺は思う。

盥ヶ峰の町を出た母さんたちがもう1度
出逢って子どもを交換する。

それから幾年かが過ぎて、
俺たち交換された子ども同士が出逢って
友達になり、ともに学校生活を過ごす。

こんな偶然、あるものなんだな。
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