見上げる空は、ただ蒼く
私はしばらく席に座ったまま
呆然として動けないでいた。

奏はあのあとラジオをどうしたんだろう。
ずっと隠してたのかな。

でも、私が屋上に行ったときに
ラジオはそこに堂々と置いてあった。

意味が分からない。

しかも、1つ気になることがあった。

夏乃香さんと友梨那さんがお互いの子供を
交換したということは、私のお母さんは
友梨那さんということになる。

だけど私と友梨那さんは、目の色が違う。

友梨那さんの目はチャコールグレイ。
そして友梨那さんと同じチャコールグレイ
の瞳を持っているのは私じゃなくて奏。

私の瞳は夏乃香さんと同じ黒だ。
これじゃ、話の辻褄が合わない。

私はこの疑問の答えを見つけるべく
目をつぶって考え込んだ。

黒い瞳の母親からグレイの瞳の子供が
産まれてくるのは不自然すぎる。
友梨那さんはその疑問から本当の事を
隠すために瞳の色を変えていた...?

私は席を立ち、後ろに設置してある
映写機に近寄っていった。

詳しくは分からないけれど、
フィルム式のかなり古い型だと思う。

あちこちさわってフィルムを巻き取ると、
確認したいシーンを見ることが出来た。
それは、お母さんたちが小さい頃の、
映画でいうと本当に初めの方のシーン。

「目、綺麗な色だね!」

そう言って笑っていたのは......
夏乃香さんじゃなくて友梨那さんだ。

つまり、グレイの瞳を持っているのは
友梨那さんじゃなくて
夏乃香さんであるということになる。
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