見上げる空は、ただ蒼く
私のお母さんは黒のコンタクトレンズを、
奏のお母さんはグレイのコンタクトレンズ
をして誤魔化していた訳だ。

私が望まれない子だってことは、
お父さんがいた頃から薄々気がついていた。

両親はよく私を家族旅行に連れ出してくれた
けれど、小学校低学年の私を
連れていくのは博物館や美術館。

そこで知識や感性をを植え付けるのが
目的で、両親からの愛情を感じたことは
1度だってなかった。

離婚してからはお母さんの酒癖が酷くなって
怒るとすぐ私に手をあげる。

そんな状態がずっと続いていた。

虐待。

その線引きがよく分からない。

罵倒などの精神的ダメージを与えるもの
だけでは虐待にはならないのだろうか。
軽く叩かれただけなら、
虐待とは認められないのだろうか。

それが明確に知らされない限りは、
酒で壊れてしまったお母さんの行動を
虐待と言うことが出来ないでいた。

お母さんは、お父さんや義父母のために
女の子が欲しかったんでしょう?

じゃあ、なんで。

なんで私を虐待するの?

私たちは戸籍上では親子なのに。
名字は同じで、他人のわりには
身体つきだってよく似ているのに。
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