見上げる空は、ただ蒼く
ここまで付いてきているということは、
アイツらにはかなりの体力があるはずだ。

どっかで削っとかないとマズい。

このままチェイスが長引けば俺の方が
先に力尽きる可能性もあるし。

走りながら必死で追っ手の体力を
削る方法をあれこれ考える。
どうするのが最善と言うべきか。

ふっと景色が変わり、大きな鉄工場が
何軒も横に立ち並び出す。

張り巡らされた鉄柵、鉄線の奥に、
大きなプレス機が構えている。

それを眺めていて、俺はある
突拍子もない作戦を思い付いた。

「これに、懸けるしかない。」

俺は不安を消すように深呼吸をして、
いきなり走るスピードぐんと速めた。
敵もつられてスピードをあげる。

敵をある程度引き離すと俺は工場の影に
身を潜めて敵が来るのを待った。

「こっちに行ったぞ。」

敵が見当違いの方向を指差して
一目散にかけていく。

チャンスだ。
追っ手を撒くなら今しかない。

俺は空港方面に向かって全力で走る。

今のうちに出来るだけ敵から遠い距離を
確保しておかないと俺の作戦がバレて
敵が追ってきた時に追い付かれるから。
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