見上げる空は、ただ蒼く
空港を目指す。
ここからはもう体力の問題だ。

走って、走って、走る。

ただ前だけを見つめて。
君と会うことだけを考えて。

なぁ、結乃。

心の中で愛しい君に語りかける。

結乃は俺の知らないところで、
自殺未遂するほど精神的に
追い詰められていたんだよな。

気付けなくて、ごめん。
結乃を傷つける奴は許さないって
言ったのに、俺がお前のこと傷つけてる。

結乃にはたくさん迷惑をかけた。
俺たちの母さんがもし子供を交換する
なんていう非道なことをしていなかったら。

アイツからの虐待を受けるのは
結乃じゃなくて俺だったはずなのに。

結乃はたくさんの愛情を注がれて
育っていくはずだったのに。

俺たちの親は大きな過ちを犯したんだ。

実の親に存在ごと交換された
っていうこの過去は変えられない。

でも、これから来るであろう未来は
自分達の手で変えることが出来るから。

俺は諦めない。
絶対に結乃に会いに行く。

それで好きって伝えるから。
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