見上げる空は、ただ蒼く
怖かった。
あの視線が、声が、
振り下ろされる手が。

「お母さん......?」

「なぁに、私の結乃。」

前はあんなに優しかったのに。

「あのね、結乃は、
お花屋さんになりたい!」

「結乃ならきっとなれるわ!」

大事にしてくれていたのに。

「ねぇ、お母さん...!」

「うるさい!黙りなさい!」

なんで変わっちゃったの。
私は、もう1度でいいから、
前のお母さんに会いたいよ...。

お父さんは出ていった。

「どうしてお父さんはいなく
なっちゃったの?どうして?」

小学3年生だった私が尋ねると、
お母さんは弱々しく笑った。

「離婚、したのよ。お父さんは
もう結乃のお父さんじゃないわ。」

そして、お母さんは家に帰って
くるのが遅くなって、お酒を飲む
ことが増えた。
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