見上げる空は、ただ蒼く
飛行機を降りて荷物を受けとると
そのまま空港から出てロータリーで
タクシーを拾った。

スマホのメッセージアプリを開いて
葉音にメッセージを送る。

『今、日本に着いたとこ。
すぐに病院の方に行くから。』

すぐに既読になって、
簡単な返事が送られてくる。

『うん。早く行ってあげて。』

『分かってるよ。』

それだけ送り返してスマホを
ズボンのポケットに突っ込んだ。

「兄ちゃん、どこまで行く?」

運転手の言葉に、俺は答える。

「此代坂総合病院の前まで、
急いで下さい。お願いします。」

「あいよ、おっちゃんに任せとけ。
20分で行ってやるよ。」

威勢の良いアクセル音と共に
タクシーが滑るように走り出す。

後部座席に座って、膝の上で
拳をギリギリと強く握りしめた。







なぁ、結乃。

お願いだから、死なないで。

俺を置いてお前だけが
先に逝くなんて、ないよな...?
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