見上げる空は、ただ蒼く







病院に着く。


「兄ちゃん......お代はいらねぇよ。」

代金を支払おうとすると、タクシーの
運転手はヒラヒラっと手を振った。

「え、でも......。」

「いいからいいから。その金は
後の為に取っときな。その代わり...」

そう言って運転手はニカリと笑う。

「帰りもこのタクシー使ってくれよ。
いい報告期待してるぜ。」

「.........はい!ありがとうございます!」

がばっと勢いよく頭を下げて、
タクシーを後にする。

1秒でも早く君に会いたい。

自動ドアが開くまでの時間、
エレベーターを待つ時間さえも
惜しくなってくるんだ。
< 221 / 273 >

この作品をシェア

pagetop