見上げる空は、ただ蒼く
病室のドアを開け放つ。

「結乃っ!」

そこには俺の大好きな幼馴染みが
たくさんの管に繋がれてすやすやと
気持ち良さそうに眠っていた。

身体のあちこちに分厚く巻いてある
包帯が、その傷の深さを表している。

そこに刻まれているであろう傷痕。
どれだけ傷付けば済むんだよ。

その顔をするりと撫でて微笑む。

「心配かけんなって...。俺はたとえ
何があったとしてもお前の傍にいる。
お前を守るって決めたんだから...。

なぁ。目、覚ましてくれよ。

ちゃんと話すから。俺たちの
関係のことも、なにもかも全部。

起きて笑ってくれよ、結乃.........。」

彼女の端整な顔に透明の雫が
1粒、また1粒と零れ落ちていく。

それは俺の、涙だった。
俺はそれを拭うこともせずに、
ひたすら彼女に語りかける。

ただ、好きで。

笑ってほしいだけ。

ねぇ、お願いだから。













目を覚ましてよ...。
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