見上げる空は、ただ蒼く
戸棚にある救急セットを持ってきて
見える傷を片っ端から消毒した。

これ、絶対に染みるよね。

心の中で同情しつつも容赦なく
エタノール消毒の液体を振り撒く。

軟膏を塗ったり包帯を巻き付けたり
しばらく傷の手当てをしていると、
やがて奏が目を覚ました。

「痛っ.........ここ、どこだ?」

周りを見渡して混乱している奏に
ため息をつきながら告げる。

「ここは私の家。あんた、
どうせ凜と喧嘩したんでしょう。

あちこち怪我だらけの状態で結乃の
病室に倒れてたのよ?だから家まで
運んできて看病してたってわけ。」

奏は理解できたのか深く頷いて、
それから首を傾げた。

「運んだ、ってどうやって?
お前以外に誰か男でもいたの。」

「ううん。スーツケースに
無理やり詰め込んで運んだ。」

「お前、やること大胆なんだな...。」

私が答えると彼はそう言って
やれやれとでも言うように苦笑した。
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