見上げる空は、ただ蒼く
「確かに、凜と喧嘩したよ。
俺は序盤に満タンのコーラのボトルで
頭部を殴りつけられたからほとんど
記憶が残ってないんだけどね。」

平気そうな彼に思わず怒鳴る。

「無茶、しないでよ!」

「......え?」

不思議そうにこちらを見る奏。
私は深く息を吸って声を出した。

「結乃には奏がいないとダメなの。
奏じゃなきゃダメなんだから、そんな
しょうもないことで奏に怪我されたり
死なれたりしたら困るの。分かる?
頭いいんだからそれくらい察してよね。」

彼は何度か瞬きして、それから
その不思議な色の瞳を涙で濡らした。

「ん、気を付けるようにするよ。
まぁ結乃を傷付ける奴は許さないし、
俺の手できっちり成敗するけどね。」

相変わらず、懲りない奴。

「愛されてて羨ましいなあ。」

思わず口から本音が洩れた。
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