見上げる空は、ただ蒼く
「聞いただろ?結乃が自殺未遂した
あのときに流れてたラジオの音声。」

その言葉に、ゆっくりと頷いた。

「内容は、よく覚えてないけど。」

私がそう言うと、奏は切なげに
目を細めてぽつりぽつりと呟く。

「俺と結乃はさ、切ろうとしても
切れない縁で結ばれてるんだよ。」

「はいはい、のろけなくていいから。」

そう言うと、違うんだよと遮られる。

「俺の実の親は結乃の親なんだ。
結乃の実の親は、俺の両親。

......な?切れない縁だろ、これって。
俺たちは親の幸せのために
物みたいに交換された存在なんだよ。」

彼の言葉の衝撃が強すぎて、
すぐには理解出来ない。

突き付けられた事実に呆然とした。

「そん、な......嘘よね?」

嘘だ、嘘に決まってる。

結乃と奏がお互いの両親に捨てられて
存在ごと親に交換されたなんて。

そんな事実、哀しすぎるじゃない。
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