見上げる空は、ただ蒼く
「え、どうして?」

ただ俺の仮説が間違っていたって
だけなんじゃない?と言いたげな
目で見られて苦笑する。

「凜は犯人を庇ってるんだよ。
偵察したのは凜かもしれないけど、
靴箱に紙を置いて屋上にラジオを
置いたのはアイツじゃない。だって
凜は学校に来てなかったんだから。」

あいつにも複雑な事情はある。

結乃に忘れられて、自暴自棄になって
傷付けたくなったのかもしれない。

でも。

『これ、私の宝物。』

かつて、凜がそう言って俺に
見せてくれたのは小さい頃の結乃が
凜にあてて書いた手紙だった。

あれは確か、中1の頃だ。

凜は例えいじめをしたとしても、
結乃を本気で自殺に追い込むような
マネはしないはず。

これは1種の賭け。
俺は、凜が単独犯じゃないと信じる。
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