見上げる空は、ただ蒼く
身体にはたくさん痣が増えて、
友達にも心配されたけれど
打ち明けることは出来なかった。

打ち明けたことがお母さんに
バレたらどうなるのか、それが
怖くて仕方なかったから。

きっと、いつか殺される。

いつしかそんな恐怖に怯えながら
毎日を過ごすようになった。

大事にしていた赤いランドセルは
背負ったままの状態で殴られたり
蹴られたりするせいであちこちが
へこんで、うす黒く変色していた。

ランドセルは、お母さんが
お父さんと離婚したときに必死で
働いて新しく買ってくれたもの。
私の大切な宝物なのに。

家に帰ってお母さんがまだ帰って
来ていないと分かるとほっとして
涙が零れる。

嫌だった。

お母さんが変わったことより、
自分がお母さんをどうすることも
出来ないってことが。

『出来損ない娘が。』

その言葉が耳にこびりついて
何故か忘れられなかった。
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