見上げる空は、ただ蒼く
にっこりと笑いかけてくれる
その顔に、私は何度救われたんだろう。

奏には、本当に助けられてばかりだ。

「奏、いつもありがとう。」

奏に向かって言うと、彼は
びっくりしたような表情になって
それから少し頬を赤らめた。

「どうしたんだよ、いきなり。」

「だって、奏にはいつも
助けられてばかりだから。
私も奏に恩返ししないとね...。」

貰ってばかりじゃダメだよね。
ちゃんとお返ししなきゃ。

私がそう言うと、奏は少し
考え込むような表情になり、
それから私の方を見て笑った。

「俺はもう既に結乃からたくさん
恩返しして貰ってるけど。
こっちこそいつもありがとな。
マジで助かってるよ。」

「そんなこと、ないよ。」

私こそ、奏に貰ったものは
数えきれないほどある。
家族の愛や、友情の素晴らしさも
教えてくれたのは奏だから。
感謝しても、しきれない。
< 37 / 273 >

この作品をシェア

pagetop