見上げる空は、ただ蒼く
使われている布は真っ赤なシルク地で、
家庭科部のこだわりを感じた。

「すごい!」

着てみるとサイズもぴったりで、
小さい頃ディズニーランドに
ドレスを着て遊びに行ったことを思い出す。

あのときはまだ、離婚してなくて
お父さんも一緒だったな。

昔のことを懐かしく思い出した
ところで衣装を着たまま更衣室を
出て練習場所の体育館に戻る。

緊張しつつドアを開けるともう
みんなが衣装を着て揃っていた。

奏の方に視線を動かした直後、
私は目を疑った。
サラサラ髪を編み込みにして
濃紺のタキシードを着た奏は
明らかに不機嫌そうだけど、
めちゃくちゃカッコいい。

奏の衣装は小さなスパンコールや
ラインストーンが散りばめられて
いて、それらが窓から入ってくる光
を受けてキラキラと輝いている。
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