見上げる空は、ただ蒼く
思わず見とれていると、奏が
こちらに近づいてきた。

「何ぼさっとしてんの。
さっさと練習始めるようぜ。」

「う、うん。」

頷くと、奏は私の身体を支える
みたいに持ってそのまま
ずるずると引っ張っていった。

バックハグみたいな体勢で
腰に手を回されて、私は
恥ずかしさで真っ赤になる。

「全員そろいましたか?では
ラストシーンいきます。
少し長いけれど頑張ってください。
カウントダウンスタート、
3・2・はい。」

こうして、ラストシーンの練習は
登場する全員が本番で使う
衣装を着た状態で始まった。

ラストシーンはロミオが死んで
しまったことを知ったジュリエット
が嘆き哀しんでロミオに永遠の愛を
誓いながら後を追うようにナイフで
自分を刺して自殺するシーン。

私のセリフや動作が、すごく重要な
鍵になることは間違いない。
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