見上げる空は、ただ蒼く
奏は静かに床に横たわり、
そっと目を閉じている。

その姿はとても綺麗でロミオの
儚い雰囲気が醸し出されていた。

私はその場に座り込んで、
顔を覆うような仕草をする。

「ロミオ...。どうして私より先に
逝ってしまったの。あの夜
月の光の中で、共に生きようと
誓ったじゃない。

あぁ、いっそのこと私が先に
死んでしまえばこんなに哀しむことは
なかったでしょう。ロミオ、
今から貴方に会いに行くわ。
そちらの世界でまた会えますように。」

そして、手に握りしめた刃先が
中に収納できる短剣をぐさりと
胸に突き刺す。

「待っていてね...。」

最後にそう呟いて私は奏の隣に
そっと倒れ込んだ。

オルゴールの音色が響くなか
静かに閉じていく緞帳。

「カット、すごく良かったよ!」

緞帳の後ろにやってきた
凜が私たちに向かって大きく
親指を立てた。
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