見上げる空は、ただ蒼く
私の言葉を受けて、凜は少し
戸惑いの表情を浮かべたあと、
私を睨み付けて言い放った。

「は?意味わかんない。なんで
アンタはそんなんなのに奏に
好かれてんの?なんにも出来ない癖に!
所詮出来損ないの癖に!」

出来損ない...。

そうだ、私は出来損ないなんだ。
なんで凜に偉そうに気持ちを
ぶつけたりしたんだろう。
所詮出来損ないなのに。

ふっと力が抜けた。

「結乃?!」

そこから先は、何も覚えていない。
水の中に沈んでいくような、
そんな感情に捕らわれた。

私は感情に任せて目を閉じる。

「大丈夫か、結乃。なぁ、返事しろ!」

奏の声だけが、心地よいフルートの
旋律のように脳内に響いていた...。
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