見上げる空は、ただ蒼く
目を開けると、そこは
どこを見ても暗闇の世界。

「ここは......どこ?」

呟くと、その声は水面に
広がる静かな波紋のように、
山合に投げ掛けたこだまのように
響いていた。

「私、どうしたんだっけ。」

学園祭の劇......奏のロミオ...
あと、それから......

「短剣......。」

そうだ。

あのとき短剣が凜の手によって
すり替えられていて。

そこからの、記憶がない。
ここから、出なきゃ。
本能的にそう思った。

でも、ここは暗闇の中。

試しに、手を突きだしてみた。
手に、冷たいものが触れる。

これは......ガラス?

僅かにヒビがはいっている。
叩いたら、割れるかも。
私は力をいれて、鏡を叩いた。



パリィィィィィン!!


鏡の割れる甲高い音。
思わず耳を塞いだとき、
周りが白い光に包まれた......。
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