見上げる空は、ただ蒼く
「なら、いいけどさ。」

奏は疑うような表情をしつつも
詮索はしなかった。
きっと紗綾さんの気持ちを
尊重しようと思ったんだろう。

奏は気配りの上手な人だから。

3人でケーキを食べてから僅か数分後。
私と奏は奏の部屋で、
床に向かい合って座っていた。

奏の部屋に来るのは久しぶり。
何故だか緊張して、座り方が
変な正座になる。

「よ、よろしくお願いします。」

おずおずと頭を下げると、
奏がふはっと表情を崩した。

「なーに緊張してんの。昔は
1個の布団に2人で寝てたような
関係じゃんか。今さら緊張しても
意味ないでしょ。」

そう突っ込まれて、私は顔を
真っ赤にしながら言い返した。

「だってあのときはまだ
2人とも小学生だったし!」

あのときはまだ、奏のこと
恋愛的な意味で好きになってなかったし。
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