見上げる空は、ただ蒼く
『田代先生、ちょっと。』

2組の田代先生が校長先生に
呼び出されたのは口無し事件
から1ヶ月が経った頃。

『なんでしょうか。』

不思議そうに尋ねた田代先生に
校長先生は真剣な面持ちで
君のクラスの子が厄介なことに
なっている、と告げたらしい。

どうやら、凜がボロボロの服で
川沿いの道を歩いているところ
を警察に保護されたそうだ。

そして、交番に連れていかれた
凜が話したのはとんでもない証言だった。

『隣のクラスのこと少し喧嘩
してしまって。話し合おうと
したら殴られたんです。
それから、思い切り突き飛ばされて
こうなっちゃいました。』

警察官が隣のクラスの子の名前
を尋ねると、凜は怯えた様子を
見せながらも答えた。

『結乃。赤坂結乃って子です。』

このことで一時大騒ぎになった
けれど、凜の嘘は結乃が化学の
補習を受けていたことから
すぐに見破られた。
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