先輩と二人だけのあまい時間
「もうちょっと丁寧にあt」



「んで、あんた。
朝、コイツと会っただろ?」



先輩の話を遮って話を進める。
壁に寄りかかって、黒い瞳はだるそうにこちらを捉えてる。



その視線からずらして、私は先輩を見た。
朝と同じように目が合った。



『会った、というかすれ違ったというか。
渡り廊下のとこで、女の先輩と一緒にいましたよね。』



「はぁ、やっぱりか。」



私が、こういうことを予想してたみたいだ。
深くため息をついて先輩に視線を移す。



どういうこと?



「お前、説明。」



それをポツリと言うと、壁に寄りかかったままズルズルと座り込んだ。



「那央ちゃん、俺隠してることがあるんだ。」



『・・・』



私は黙ったまま。
先輩をまっすぐ見ることができなくって、目線を下にずらした。



膝に置かれた自分の手だけが映る。



そんな私を気にすることなく先輩は口を開いた。
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