先輩と二人だけのあまい時間

「俺、目見えてないんだ。
全く見えてないわけじゃないんだけど、ほぼ見えなてない。
だから、1人じゃ行動出来なくて、いつも周りの人に助けて貰ってる。
那央ちゃんに隠してたのは、普通に接してくれる人がいて欲しかったから。
俺の周りには、俺を気遣ってくれる人はいるけど普通に接してくれる人はいくって。
普通に話して接してくれる那央ちゃんに、目のこと言ったら離れて行っちゃうと思って言えなかったんだ。ごめん。」



目が見えない？
じゃあ、朝目が合ったのも・・・



「昨日言った、家族と居辛いっていうのは目のことで。
俺、家族の目の前で事故に合ってこんなんになっちゃったから。」



先輩は、目の上に腕を置いた。
だから、どんな表情をしてるのか分からない。



「朝早くに綾仁が学校に行くって言うから連れてった時に、‘ ピアノの音が聞こえる’ってここに来た。毎日あんたはココでピアノを弾いてた、綾仁に気づかないでずっと。」