先輩と二人だけのあまい時間
「分かった。」



「あんた悪いんだけど話し終わったら、コイツ4組まで連れてきてくんない?」



「1人で行ける。」



「危ないから、だめ。
くだらねぇことばっか気にしてんじゃねぇぞ。」



「那央ちゃんに迷惑掛かる。
だったらここにいればいい。」



『あの!迷惑じゃないです。
4組までしっかり一緒に行くので!!』



黒髪の先輩の眉間にシワが寄っていって、今にも爆発しそうだ。
私は慌てて2人の間に入った。



「そんじゃ、よろしく。」



レッスン室の扉が閉まるとまた静かになる。



何を話していいのか分からない。
どうしよう。



「朝はごめん。
レッスン室に行こうとしてたんだ。
蓮に連れてってもらって、カイロのお礼して目のことも言おうと思ってた。」



先輩は、こっちを向いているけど私を捉えてなかった。
私はそっと立って、先輩の目の前に寄った。
昨日みたいに近い距離、私のことが見えるように。



見えるようにじゃない、見て欲しいから。
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