先輩と二人だけのあまい時間
「確かに。」



先輩は、おかしそうに笑った。
私もつられるように笑った。



『私は、先輩が見えてなくっても普通に接しますよ。
先輩、私。』



これからもずっと先輩といたいから。
もっと先輩のことを知りたいから。



でも、言葉の先は先輩に遮られた。



「俺、那央ちゃんが好き。」



そして、言おうと思っていたことを、越された。



でも、私はその後に続ける言葉があった。
きっと、先輩はさっきみたくくだらないことを気にして言えないんだ。



『つきあって、くれませんか?』



迷惑じゃないから。



「でも・・・」



ほらね、やっぱりそうだ。



『もっと先輩の隣にいたいんです。
もっと先輩にピアノ聞いて欲しいんです。
もっと先輩に見てほしい。』



コツンと、おでこを先輩のおでこにくっつける。



溶けそうなチョコレートブラウン色の瞳と交じる。
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