先輩と二人だけのあまい時間
「大丈夫。別に大したことじゃないから。
なんて言おうか迷ってただけ。」
家にいるのちょっと気まづくて早めに家出るんだけど教室にいても暇だから。
人目がつかなくて、暇が潰せる所がちょうどここだったから。」



「ね?大したことじゃないでしょ??」と頭を撫でながら先輩はそう言ったけど、チョコブラン色の瞳は泣いているように見えた。



『いつか・・・』



セーターの袖をぎゅっと握ってたように、頭の上に置かれた手を握って先輩の目を見て笑う。
見つめてるだけで溶けてしまいそうな瞳を真っ直ぐ捉える。



『いつか、蟠りは取れますよ。』



事情は、知らない。
けど、先輩家族が笑っている所をいつか見てみたいとおもった。



「そう、だね。」



『はい!』



そう言ってもう1回笑えば、つられたように先輩も笑ってくれた。



「ありがとう。」



『いえ。
というか、先輩。
手冷たすぎです。』
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