Reality~偽りの歌姫~《完》
「ジュリアの件ですか?」

俺は、自分から切り出した。

回りくどいやり取りは好きじゃない。



「まあ、そんなところだけど……」

社長は一枚の紙を握りしめている。



「自分の不注意です。すみませんでした」

所属タレントどうしの男女交際は禁止されている。

軽く頭を下げた。



「ジュリアがあんなだから、あなただけを責める気はないわ……」

社長は頭に手をやり、大きくため息をついた。

いつもの歯切れのよさはない。

桜井社長も、ジュリアの行動には悩まされているようだ。



「遼、あなたにお願いがあるんだけど……」
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