Reality~偽りの歌姫~《完》
「悪かった……今のは冗談だ」

握ったままのもう片方の手を離した。



「お前なんか……大嫌いだ!」

麗は顔をおおって、床の上にしゃがみ込んだ。



この姿を見て、胸が痛んだ。

俺は自分勝手な人間だ。

麗の気持ちよりも、自分の想いを優先させてしまった。



「本当にすまなかった……」

今の俺に、麗を抱きしめる資格などない。



麗から離れると、静かに扉を閉めた。
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