Reality~偽りの歌姫~《完》
「俺は……」

いつものように威勢(いせい)のいい声だったが、言葉に(つま)ってしまったのだろうか。

麗の目は、言葉を探して(ちゅう)を泳いでいた。



「お前も、妹も……他人に弱みを見せない奴だ。下手に踏み込むと逆ギレされる」

俺の言葉に、麗は微かに笑った。

苦笑いといったほうが正しい。



()ねると手がつけられない所もな」

何か訴えたげな視線が飛んできたが……

麗は頭を抱えて、つぶやいた。



「……お前には、(かな)わないな」
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