Reality~偽りの歌姫~《完》
「何でもないです……」

その子は、口をつぐんだ。

麗はその子の袖口をつかみ、何か訴えている。

この二人は、確実に何かを隠しているようだ。



俺が視線を向けると、それを避けるように麗は顔を背けた。

「麗、大丈夫か?」

座り込んだままの麗の肩に手をかけた。



「俺に触るな……!」

麗は激しく俺の手を振りほどき、力なく立ち上がった。
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