Reality~偽りの歌姫~《完》
「麗、大丈夫か?」

部屋に入ると、麗は崩れ落ちるように倒れ込んだ。

抱き起こそうとした俺の手をはらいのける麗。

「俺に触るなって言ってるだろ」



「濡れたままじゃ風邪ひくぞ。早く着替えろ」

そう言って、あいつにタオルを投げた。

麗は受け取ったタオルで顔をおおったまま、床の上にうずくまっている。



「おい、しっかりしろ」

俺の視線を避けて、麗はタオルと着替えを持って立ち上がった。

台所へ行き、扉を閉めようとする麗。



「ここじゃ着替えられない理由でもあるのか?」

その言葉に、麗は動きを止めた。
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